2.4 節点解析法
 前節の閉路解析法はキルヒホッフの電圧則を基本としていますが、節点解析法は電流則を基本としています。
節点解析法
 節点解析法におきましては、任意の1つの節点を接地点に選び、これに対する他の節点の電圧を未知数とします。そして、接地点以外の節点に電流則を適用して方程式を立てます。回路に電圧源を含む場合は、電流源に変換したほうが扱いやすくなります。
 上図の回路について、各枝電流は以下のようになります。
 i1=v1/R1
 i2=v2/R2
 i3=v3/R3
 i4=(v1-v3)/R4
 i5=(v2-v3)/R5
 v1~v3を求めるために、節点a,b,cに対してキルヒホッフの電流則を適用します。
 節点a:i1+i4=J1
 節点b:i2+i5=J2
 節点c:i3-i4-i5=0
 これを、先ほどの式に代入して整理しますと
 (G1+G4)v1-G4v3=J1
 (G2+G5)v2-G5v3=J2                 ※G=1/R
 -G4v1-G5v2+(G3+G4+G5)v3=0
 この式を節点方程式(node equation)と言います。この式をv1,v2,v3について解けば、各枝電流が求められます。この式を行列形式で表すと、以下のようになります。
行列
 左辺のコンダクタンスを成分とするコンダクタンス行列には以下の性質があります。
 1:対称行列
 2:対角要素は、その行に対応する節点につながる枝のコンダクタンスの総和
 3:非対角要素、たとえばij要素はi節点とj節点とを直接結ぶ枝のコンダクタンスに負号をつけたものです。ij間を直接接続する枝が無ければ0となります。
 右辺については、各接点に流入する電流源電流の和となります。電流源が無ければ0、流出する場合は負となります。

 次に、回路から直接行列式をもとめてみます。回路図より、節点aにはR1,R4が、節点bにはR2,R5が、節点cにはR3,R4,R5がそれぞれ接続されているので、対角要素が求まります。次に、節点a,b間を直接つなぐコンダクタンスは無いので0、節点a,c間はR4が、節点b,c間はR5がそれぞれ接続されているので、非対角要素が求まります。また、節点aにJ1が、節点bにJ2がそれぞれ流入するので右辺についても求まります。すべての値を入れますと、上記の行列式と等しくなります。
 回路解析において"節点解析法"と"閉路解析法"のどちらを選ぶかは、主として必要な回路方程式の数によって決まります。方程式の数は、以下のようになります。
 枝電流解析 b
 閉路解析  b-(n-1)
 節点解析  n-1
        ※参照
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